『さまよえる近代』読書会について
はじめまして、有志で読書会サークルをやっているものです。 この読書会では、アルジュン・アパデュライの『さまよえる近代』について講読を進めております。 『さまよえる近代──グローバル化の文化研究』門田健一訳、平凡社、2004年。 本書は2004年に翻訳出版された書籍で、アパデュライの論文集という位置付けですね。原著は、 Appadurai, Arjun. Modernity al large: cultural dimensions of globalization, Univ. of Minnesota Press, 1996. です。 牛の歩みで進めてきた読書会、1年2ヶ月をかけて現在ようやく7章の前半まで読み進めてきたんですが、ここまで読んできた全体の感想としては以下のとおりです。 ・アパデュライの文章は読みづらい上に頭に残らない ・前後の文章のつながりがよくわからない ・差異の体系として概念を措定していく傾向があるからか、Aという概念の説明で「BでもなくCでもないもの」みたいな周縁を縁取っていくようなふわっとした話にしかならないものが多い ・第1章でこれから議論に使っていくとか言ってた概念がほとんど2章以降で出てこなかった 以上からわかるように、とにかく読みづらい本です。 それに加えて、これはもうこの本を選んだ段階できちんと把握してなかったこちらの落ち度でもあるのですが、現代思想の基本的なものは全部わかってるよな的な書きぶりだったり、ナショナリズムの基本的な文献と考え方は頭に入ってる前提で話を進めていたり、インドの現代研究と政治的な背景もわかっていないときつい部分があったり、読む上で必要な知識があまりにも欠けている我々には結構重たい代物だなという印象が強いですね。 ただし、アパデュライ的な文章というのは、用語や概念を常に定義しながら話を進めていく歴史学の方法論に慣れ親しんだ僕なんかにはすごく新鮮で、最初はイライラしたり、今もイライラしたりしていますが、新しい発見もあるような気がしています。ただ、きちんと時間をとって真面目に読めていないので(失礼)、突き詰めて考えられているかというと微妙ですけれども。とにかくみんなでうんうん唸りながらああでもないこうでもないと議論をしていくことも楽しい時間です。 そんなこんなでこれから読書会に関する記事だ...